空間

好きなように話させてよ

 

わかっているんだー。わかっている。7人が7人ともいい子で、センセーショナルなことを一番穏やかでハッピーな形で伝えてくれる技力の持ち主であるということも。みんな気ぃ使いで、すごく空気が読めることも。でもだから、たくさん飲み込んでいる言葉や感情が、どこかにあるということも。

 

なんとなく知っていた可能性が、こうしてつま開きにされると、知っていたから、ほおっと思って、その現実が宙に浮く。これは最善の最善ではないから、いや、でも、最善なんてないんだけど、と、とらえどころのない感情が渦を巻く。

 

「いやだ」じゃない。むしろ「ありがとう」だ。だけど、「ありがとう」だけじゃない。「いいのでしょうか?」って思うし、「いいの?」って思う。誰にとっても、120%望んだ未来ではない。今の現状で、これが最善、または精一杯だ、と選んだ、選ばざるをえなかった選択だ。

 

ああ、でも、いいのか。これで、いいのか。と、今、ようやく、思った。ここまで書いてようやく、思った。誰かが考え抜いて選んだ選択肢を、きっと考え抜いて受諾した。選んで選ばれて、選ばれて選んだ結果だ。7人が決めたことなら、それは運命でも偶然でもなくて、現実であり未来だなあと思う。

はたちになったきみへ

松倉海斗くんはたちのお誕生日おめでとう!

 

わたしがきみのことを好きになったのは、いつのことだったでしょうか。不思議と、はっきりとした記憶はない。「真実」の頃は、好きになりかけだったかな。それから今まで、ずっと変わらずに好きな部分は、真摯な舞台への姿勢です。かつてしゃかりきと言われた踊りも、今も変わらず豊かな顔の表情も、ぜんぶそうした姿勢そのものでした。

 

好きなナンバー、好きな衣装、好きな振り付け、好きな表情。画面の端っこに見つけたきみが、気づけばわたしの視界のまんなかで。声も知らなかったきみが、苦いジュースを飲んでげらげら笑ったり、箱の中身はなんだろなで箱に腕をつっこんでケラケラしたり、水浸しの洞窟でぎゃあぎゃあしたり。歌が苦手だと言ったきみが、梅芸の、帝劇の、博多座のまんなかでソロを歌ったり。うれしかったこと、たのしかったこと、数えればきりがない。熱出したり、ぼろぼろ泣いちゃったり、そういうのはずーっと変わらないけどね。とにかく、わたしは、まつくらくんに、たくさんの景色を見せてもらいました。

 

これだけたくさん言葉にしたい瞬間があるのに、これはきっと20年のうちでほんのわずかな瞬間なのだろう、と思う。それがさみしいとか、やだ、とかは微塵もなくて、20年から放たれた欠片を、こんなにキラキラしている欠片を、わたしにも見せてくれてありがとうと思います。

 

何度でも言うけれど、世界でいちばん好きな人が、世界でいちばん好きな舞台に立っているという巡り合わせは、本当に本当にありがたいことで、本当に本当にぜいたくだよね。エゴ全開で、ずっとその場所にいてくれたら、と願ってしまうけど、そんなことより、まつくらくんがこれからも自分自身の手で自分の生きる道を選びとっていってくれたらなあと願う気持ちも本当です。大きく口を開けて笑う顔が好きだから、ずっとそうやってたくさん笑っていてほしい!まつくらくんの歩む道に、たくさんの光が灯りますように。わたしは、声を送り続けます。

 

今年もたくさんたくさんありがとう!20歳も、たくさんの笑顔が咲きますように!夢はずっと続くよ!

織るということ、編むということ、縫うということ

センターステージで、蛍光ピンクの衣装を着て歌ったあの曲が忘れられない。わたしのはじめての東京ドームだった。季節を背負う彼らが、ほんとうに好きで、一生続いていくと思っていた、あの頃。一番好きな会場の一番好きなステージの一番好きな衣装、一番好きな人たち、のなかでも一番と言っていいくらい好きな瞬間。


今でもピンクの色をまとって円に並べば、それこそ、あの季節につながっている気がする。あの季節のあの時間、あの一瞬。


実は何度もピンクはリフレインされているけれど、二度目のピンクは四人の意志で、三度目のピンクはますださんの未来への思い、だといつしか思った。何度も何度も繰り返される色、同じだけど、いつも違う意味を持つ。衣装は物語をつくれる。今までたくさんの物語をつくってきた彼らだからこそ、それをこうやって再編して、たくさんの思いを織り込んで、時間を超えて縫い合わせることができる。


彼らは、捨てないでいてくれる。切り離さないでいてくれる。誰かが好きだった、その一瞬一瞬の積み重ねを。なかったことにしないでいてくれる。私たちの誰かにとって大事なその瞬間と、その瞬間の気持ちは、ほんとうにかけがえのないものであると同時に、彼らにとってもその瞬間瞬間のすべてがかけがえがない。あのときこんがらがった糸も、途中でプツンと切れた糸も、それでもなんとか今の今までつながっていて、それらがなければ今はない。過去は否定しなくていい、振り返らなくてもいいけど、振り返ってもいい、過去を現在に引きずり出してもいい、新しい糸をくぐらせれば、またそこからつながっていく。





メンバーが6人だった頃、ピンクの衣装を着てセンターステージで『さくらガール』を歌った時のことが強く残っているんです。NEWSが着るピンクの衣装は特別で、僕らが過去にやってきたことへのリスペクトと挑戦。


装苑2017年9月号「増田貴久が手がけるNEWSの衣装」





物語は、布である。糸を織って、編んで、縫い合わせて、作られる。
そうであると、そのままに証明してくれたのは、紛れもなくまっすーだった。







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答え合わせ。

わたしの感じていたほとんどは間違いじゃなかった。
いつもすてきなものを見せてくれてありがとう、まっすー。






夢に夢見た季節は心にある

 

ストンズが歌う「エンドレス・サマー」、ストンズのこと大好きだし、エンドレス・サマーのこと大好きだし、すごくすごくよかったのに、不思議と脳裏に浮かんだのは6人じゃない4人で、そんな自分に驚く。音楽番組で今の4人で歌った「エンドレス・サマー」、平気で4人の歌だと思って疑わなかった、そんな自分にも驚く。

 

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わたしが一番に好きだったはずの季節、一番に一番だと思ううちになぜ一番だったかわからなくなって、そもそも一番ってなんだろう、何が一番を決めるんだろう、って迷走して、でも過去の自分が言葉にして神格化してきたあの季節は存在する気がして、どんどんと得体の知れない化け物になっていく。都市伝説みたいなものだと思う、自分が好きだったもの、って、自分の紡いだ言葉の呪いと鎧で絡め取られて、気づいたら自分の手に負えなくなるものだ。

言葉の奥底に埋められた、本質そのものを今掘り返したなら、わたしは同じ気持ちで好きって言えるだろうか。あの時とは違うわたしに、あの時と同じ心の揺らめきは再現できるだろうか。これにはちっとも自信がないから、あの日あの場所であんなにも好きだと思えたことは本当に特別なことなんだろう。

 

だからいつだって、わたしが一番に好きな季節は、今だって言いたい、心(ここ)にあるよ。今日、わたしが何かに好きって思うことは、今日しかないわたしの好きって気持ちだから、特別。