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空間

好きなように話させてよ

まだ上へ行くの?今より上のさらなる上へ向かって

Perfume IDOL


filmarks.com


私はPerfumeになりたかった。

ずっとPerfumeに憧れていて、Perfumeになりたいと思っていた。なんだろう、成り代わりたいとかではなくて、でも四人目のメンバーとかでもなくて、三人のPerfumeの中で私もPerfumeとして存在したかったと思っていた。

「これからも私たちを支えてください」
から浮かび上がる、独裁じゃない、彼女たちの国。紛れもなく国家だけれど、そこに絶対的な権力者はいない。背中を見せること、感謝をすること。愛が人を束ねていく。

Perfumeは私のすべて。細胞の一つ一つがPerfumeのためにある」
青春をすべて捧げたものに対する覚悟と、愛。私たちにはこれしかないんだ、と泣きながら言っていたね。フツーの中学生や高校生の青春なんてなかった。フツーの青春の価値もそれを犠牲にして手に入れた夢の価値も両方きっちりわかっているから覚悟ができている。

「私だから、かっこよく見えるように踊りたい」
Perfumeは三人だけではなくなったけど、それでも三人でなければならないという自覚。自分たちがどうしてここに立てているのか、さらによりよくするためには自分達以外の力が必要なのか、変わらなくてもいいのに変わる必要があるのか、悶々。それでも変わりたい、さらに上に行きたい、keep climbing すべてのために。
身の回りのすべてに自覚的な彼女たちの言葉が痛いほど身に染みる。


***


彼女たちを追うようになってから、10年弱が経った。気づけば少女たちは熱狂の渦の中にいて、自分たちの身体からは離れたところにある得体の知れない大きな力に飲み込まれ押し上げられた。わけのわからない時間が過ぎた。けれども、三人はそのおそろしい怪物となった「Perfume」から決して手を離すことはなかった。一時、私は彼女たちがぶかぶかの着ぐるみを着ているように見えて、悲しくなったけれど、今はもう違う。ちゃんと怪物を乗りこなしているように見える。


私がこわかったのは海外ではなかった。海外に行く時、絶対に日本を捨てない、日本を伝えるために海外に行くのだ、愛は薄れない、心はいつも日本にある、そう言い残した言葉の強さを信じていたし、そこに疑いはなかった。海外公演を見ても、東京ドームに凱旋したときの言葉を聞いてもそれは変わらない。私は大きな力で飾り立てられることがこわかった。三人が三人でなくなってしまうと思った。それからテクノロジーに嫉妬した。新しいこと、かっこいいことが生まれ続けるブラックホールのようで、おびえた。気づけばそっと手を離していた。それからというもの、2年程が経って、「怪物を乗りこなす」姿を見てやっと私は嫉妬していた頃の自分を認めることができたし、また新しい世界に連れて行って欲しいと素直に思えるようになったのかもしれない。いつも門戸を広く開けて、どんなに遠くまで行ってもすっと物語に戻してくれるPerfumeのやさしさが好きだ。そしてそれだけの魅力がある。


何者かによって目紛しく景色を変えられる中で、絶対に耐えられないほど苦しい瞬間があるのに、ずっと彼女たちは感情を動かして、泣いたり笑ったりしていた。苦しさは苦しさとしてではなく、笑顔となり涙となり声となり踊りとなり私を楽しませてくれた。たぶん、彼女たちも楽しんでいた。いつもいつも泣いたり笑ったりしながら苦しみだけじゃない人生のすべてを楽しんでいた。そしてそこには常にたくさんの人がいた。誰かがいつも背中を押していた。三人が三人でいるためにたくさんの力が働いた。


私はずっとPerfumeになりたかった。
なれなかったけれど、それでもやっぱり私はPerfumeみたいに生きたい。








impressed by 映画『WE ARE Perfume WORLD TOUR 3rd DOCUMENT』